※2019/2/5追記有り
我らのアイドルである「家庭用製麺機」が朝の連続テレビ小説「まんぷく」の主役になったみたいですね。びっくりぽん。
製麺機好きであれば、「あの製麺機はなんなのか」という疑問が出てくるかと思います。おやおやって思うんですよ。
まずは番組の大前提を確認しましょう。
連続テレビ小説 第99作『まんぷく』。
今や私たちの生活に欠かせないものとなった「インスタントラーメン」を生み出した夫婦の知られざる物語を描きます。
何度も失敗してはどん底から立ち上がる"敗者復活戦"を繰り返した末、二人は世紀の大発明へとたどりつく
――人生大逆転の成功物語です。※実在の人物をモデルとしますが、激動の時代を共に戦い抜いた夫婦の愛の物語として大胆に再構成し、登場人物や団体名は改称した上、フィクションとしてお届けします。
ドラマなんで当たり前ですが、大胆に再構成したフィクションの話です。
それを踏まえまして、実際にどんな製麺機かというと、こちらになります。
おはようございます!まもなく「まんぷく」のお時間です。
— 【公式】連続テレビ小説「まんぷく」 (@asadora_bk_nhk) 2019年1月31日
スープが完成し、次は麺作り!と思ったら「お湯を入れたら薄くなるのでは?」という福ちゃんの指摘で、濃いスープエキス作りに取り組む萬平さん。3歩進んで2歩下がる。新しい物を生み出すって本当に大変なことですね。#まんぷく #朝ドラ pic.twitter.com/YA8eIiUwfQ
パッと見た感じは、緑色で幅広の両刃型ということで、小野式2型両刃型後期タイプのように見えますが、「なんだあのギアカバーみたいなのは!」って思いますよね。
この写真だとわかりづらいですが、あのカバーの内側に自転車みたいなチェーンがあるんですよ。チェーン駆動の家庭用製麺機は、私の知る限りでは世の中にあれだけです。
そして片側の木ロールが太いものに置き換えられ、さらによく見ると片側の切刃が外されて片刃になっていました。可愛い蝶ネジ部分が丸くて黒い玉になっているのも謎です。
「邪魔しませんから萬平さんの仕事を見せてください」
— 【公式】連続テレビ小説「まんぷく」 (@asadora_bk_nhk) 2019年1月31日
「うれしい、萬平さんを手伝えて」
心から萬平さんの支えになりたいと願う福ちゃん。でも好奇心もあるんでしょうね。楽しそう! 冒険の旅!#まんぷく #朝ドラ #安藤サクラ #長谷川博己 pic.twitter.com/wqvkFfkCny
小野式2型両刃型後期タイプは、これのことです。
萬平さんのとはちょっと違います。
うっかり資料としてバーンと載せましたが、詳しい話は「趣味の製麺8号」をどうぞ。
ちなみに横浜にある日清のチキンラーメンミュージアムに再現されていた安藤百福(ドラマのモデルになった人)の研究室はこちら。
そこにあったのは、まぎれもなく小野式製麺機両刃型の2型後期タイプでした。2ミリ×6ミリで、木の台座はバックロングセット(後ろ側が長い)でした。カップうどんの開発中だったのかもしれません。
ちなみにチキンラーメンを作る体験コーナー「チキンラーメンファクトリー」にある製麺機はこちら。オールステンレスな感じでメモリもついた謎の新型製麺機です。特注なんでしょうね。これ欲しいなー。
ギアの数が多くて、小野式とハンドルの回転方向が逆で混乱します。もちろんチェーンは使っていません。
ちなみにチキンラーメンを作った話は「趣味の製麺6号」に掲載されているのでどうぞ。
さて本題に戻って私の推測です。
ドラマの中で使われているチェーン駆動式の製麺機は、小野式製麺機2型両刃型を改造して作った、萬平オリジナルモデル(という言い方が正しいのか謎ですが)だと思われます。
なぜわざわざそんなことをしたのかというと……NHKだからですかねー。特定の企業名がバーンと入った製麺機は使いたくなかったんじゃないでしょうか。
そしてもう一つ理由があるとすれば、チキンラーメンの発売は昭和33年(1958年)8月25日。開発時期は当然その前になりますが、小野式製麺機両刃型の後期タイプが登場するのはそれから約20年後(諸々資料による私の推測)だったりします。なので、チキンラーメンミュージアムに展示してある製麺機も正解という訳ではないのです。たぶん。
ドラマを撮影するにあたって、安藤百福が実際にどんな製麺機を使っていたのかという資料がなかったため、開発時は発売前で時代が合わない小野式製麺機をそのまま使うのではなく、大胆に再構成したフィクションの小道具として用意したということなのではないでしょうか。素直に片刃のA型あたりをレストアすればいいのにとはちょっと思いますが。ラーメンミュージアムにあるものと同じ製麺機をとりあえず用意しちゃったんですかね。
とかいって、本当にあのチェーン駆動式製麺機を安藤百福が使っていたのかもしれませんが!
こんなことをわざわざ書いておいてあれですが、そういう細かいことはどうでもよくてですね、鋳物の家庭用製麺機がドラマにバーンと出てよかったですねという話です。
次は眞﨑照郷の製麺機開発ストーリーをやってください。
報告は以上です。
---------2019/2/5-追記----------
すみません、いろいろ書きましたが、あの製麺機は2003年下半期の連続テレビ小説「てるてる家族」で使用したやつの使い回しっぽいです。物持ちいいですね。
同じ製麺機かな。#まんぷく #てるてる家族 pic.twitter.com/jA4JQJvKuI
— えざーぷれとん (@esirpretne) 2019年1月28日
以下、ウィキより。
安西千吉
通称千吉博士。終戦直後焼け跡の大阪で、寒空の下一杯のラーメンを求めて闇市の屋台に列を成す人々の姿を見て、即席ラーメンの開発を志す。家に転がり込んだ秋子の協力も得て「ニコニコめん」を開発、大ヒットする。「人類は麺類」が口癖でパンは嫌い。モデルは日清食品創業者の安藤百福。
てるてる家族では安藤百福が安西千吉となり、まんぷくでは萬平さん。よってどちらも同じエピソードになります。
ということで、よろしくお願いいたします。
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