趣味の製麺

家庭用手回し式鋳物製麺機(小野式製麺機など)を使った、自家製麺のラーメンやうどんをを楽しんでいます。

驚異のネバリ、もち小麦の「もち姫」で冷たいうどんとラーメン用中華麺を打ってみる

 

 

 

 

こんにちは。諸事情で低アミロースの小麦を試してみます。

諸事情というのは、井上こんさんにインタビューしたからです。その記事はこちら。

suumo.jp

小麦粉のもちもち感を阻害する「アミロース」という物質を作るwaxy遺伝子には、Wx-A1、Wx-B1、Wx-D1があり、その一つが欠失すると「やや低アミロース」、二つ欠失で「低アミロース」、三つすべてが欠失したすると「もち」だそうです。もち!

そんな奇跡の小麦「もち姫」を使います。2006年に命名登録された新しい品種で、普通に楽天とかアマゾンで買えました。

 

これが「もち姫」だ

はい、届きました。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165233j:plain

 

アミロースの量は小麦粉のスペックには現れません。

強力粉と書かれていますが、タンパク質は9.7gと中力粉レベルのようです。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165239j:plain

 

粉を触ってみると、とてもサラサラです。

この時点ではネバネバもモチモチもしていません。

粒子が細かく、指当たりが柔らかい感じです。

小麦の種類というよりは、製粉の具合のような気もしますが。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165242j:plain

 

うどんを打ってみよう

とりあえずうどんを打ってみます。

10%の塩水を48%で水回ししてみます。

粉100g+(塩4.8g+水43.2g)

普通の手打ちうどんくらいの水加減です。

f:id:tamaokiyutaka:20220122174546j:plain

 

あれ、パッサパサ。

季節的な問題もありますが、水が多くないとまとまらないタイプの小麦粉っぽい。

水を5g足してしばらく寝かせて、どうにか固まりました。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165341j:plain

 

がんばって捏ねます。

硬い。総加水率53%でこの硬さなのか。

まだ水が少ないけれど、とりあえずこれで伸ばしましょう。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165344j:plain

 

久しぶりに麺棒を使った手打ちうどんにチャレンジ。

ちょっと硬いけれど、もち小麦というくらいだから、意外と伸びてくれるかも。

麺棒でエイエイ。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165349j:plain

 

だめだ、ぜんぜん伸びない。なにこれ。

手打ちにするなら加水率55%以上じゃないとダメなのかな。

そもそももち姫100%で打つのが間違っているような。

 

ということで製麺機でクルクル。

おおお、シルクのような美しい麺帯ができた。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165358j:plain

 

2.2ミリの切り刃でクルクルと麺線にします。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165401j:plain

 

あら美しいうどんだこと。

もち小麦っぽさは、麺の状態だとわからないですね。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165406j:plain

 

しっかり茹でて、水でしめます。

なんだこのうどん、水でしめてもデローンとしている。

※少し黄色が強く出たのは、後述する中華麺を茹でたお湯を使った影響があるかも。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165429j:plain

 

食べてみると、冷たい麺状のもち。

冷たいのにムニョムニョ柔らかいというもち姫マジック。

表面はデロンデロンなのにしっかり噛み応えがある。

うおー、なんだこれ。

なるほど、これは「すすれるもち」だ。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165435j:plain

 

中華麺を打ってみよう

続いて中華麺も打ってみましょう。

粉200g+(塩2g+かんすい2g+水76g)

総加水率40%の中華麺としては標準的(よりちょっと多加水寄り)で、水回しをしてみましょう。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165510j:plain

 

おやおや、総加水率35%以下みたいなパサパサ感。

豚骨ラーメン用の低加水麺でも作っているのかという手ごたえ。

でもまあ実験だからとこのままビニール袋に入れて寝かして、押し固めてみます。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165515j:plain

 

パッサパサの生地ですが、正月太りした全体重をかけると、どうにか固まりました。

これならどうにか麺になるかな。二郎風な麺生地ですね。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165522j:plain

 

製麺機のローラーを通してみると、これが全然つながらない。

なんだこれ、小麦粉につながる気がない。頼むからやる気を出してくれ。

何回通してもダメ。どうした、もち姫。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165540j:plain

 

普通の小麦なら、この状態からでもどうにか圧力で麺帯にできるんだけれど、もち姫はかなりのじゃじゃ馬で、総加水率40%は手に負えない。

仕方がないので水を適当に足して捏ねなおし。たぶん45%くらい。

水を増やしたら、手にベッチャベッチャついてきた。

なんだこれ、ツンデレ?

さすが、もち姫。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165546j:plain

 

これだと粘りが強すぎるので粉を足しなおしたり、なんやかんややって、どうにかローラーに通せるかなという状態にまとめられた。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165550j:plain

 

この生地に打ち粉(もちだけに、もちとり粉)をたっぷり打って、製麺機のローラーへ。

ボコボコが治らないけれど、どうにか伸びてくれた!

普通だったら失敗の麺帯だけど、今日は許す!

f:id:tamaokiyutaka:20220122165556j:plain

 

薄く伸びたら、さらに打ち粉を打ちまくり、1.5ミリの切り刃で麺線にカット。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165600j:plain

 

とりあえあずバラバラにはならなかった。

この時点でなんだかもちもちしているな。

ウニョンウニョンしている。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165605j:plain

 

茹でます。

このくらいの太さなら二分くらいかなーと思ったら、すぐに黄色くなって、フニャフニャしてきた。あわあわ。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165615j:plain

 

大慌てで取り上げて、適当なスープへドボン。

おおお、もう見た目がすでにモニュモニュしている。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165619j:plain

 

箸で持ち上げただけで伝わるもちもち感。

食べてみると、ものすごいデロンデロン。

これは茹で過ぎなのだろうか。

でも弾力を失わないままにデロンデロンなんですよ。

伝わるかな、この独特の食感が。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165623j:plain

 

今度は硬めに茹でてみます。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165627j:plain

 

はい、茹でました!

f:id:tamaokiyutaka:20220122165636j:plain

 

硬めに茹でてもやっぱりデロンデロン。

そしてデロンデロンの奥にある歯ごたえがしっかりしている。

どっちが正解なのかまったくわからない。なんだこの小麦。

f:id:tamaokiyutaka:20220122165640j:plain



もち姫、おもしろい。

冷たいうどんと温かいラーメンがこうだと、太いうどん、温かいうどん、平べったいうどん、冷やしラーメン、極太ラーメン、つけめんはどうなるんだろう。餃子やワンタンの皮にしてもおもしろそう。

うっかり3キロ買ったので、そのうち試食会とかやりたいですね。

 


※ちょっと買い物しませんか※


 

?

 

Copyright (C) 趣味の製麺 All Rights Reserved. by 玉置標本