趣味の製麺

家庭用手回し式鋳物製麺機(小野式製麺機など)を使った、自家製麺のラーメンやうどんをを楽しんでいます。

昆虫パスタ(コオロギ&バッタ)を打って蟲ソムリエ佐伯真二郎さんに試食してもらった

 

 

 

昆虫食、食べてますか。私はそんなに食べていません。自分で採ったり、誰かにもらったり、機会があればという感じですかね。

そんな私ですが、蟲ソムリエとして活躍中の食用昆虫科学研究会の理事長である佐伯真二郎さんに、昆虫食について幅広くインタビューしたので、せっかくだからとコオロギ粉とバッタ粉を使った生パスタを製麺機で打って、リモート試食してもらいました。

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佐伯さんよりご提供いただいた商品はTAKEOさんの昆虫粉。想像以上にいろいろ扱いがありますよ。

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使ったのはこちらの2種類。

ヨーロッパイエコオロギの粉末(100グラム1480円)と、バッタの粉末(100グラム2380円)。食材としては、なかなかお高いかな。

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どちらもタイ産で、コオロギが完全養殖、バッタは天然なので種類も混ざっているらしいです。

スペックを確認すると、小麦粉の7倍くらいのたんぱく質。さすが昆虫。

「開封後は虫害をさける」という注意書きが奥深いですね。

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左がコオロギ粉、右がバッタ粉。

バッタは羽根とか足が砕ききれていない感じ。天然素材なのでロットによって違うとか。

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バッタ粉はこのままだと麺にするには粗すぎるので、ふるいにかけておきましょう。

ピザとかタコスの生地なら、そのまま使っていいかと。

ふるいに残った部分は、トッピングとしてあとから料理に掛けるといいかもね。

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コオロギはすごくキメが細かいけれど、ダマがあるのでこっちもふるっておきます。

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コオロギとバッタの粉を味見してみる

昆虫粉をそのまま試食してみました。

コオロギとバッタで、かなり味が違いますよ。

コオロギ粉末
かなり香ばしい。煮干しの香りかな。いや、のしイカだ。
完全に粉末。ダマはふるいで押せば簡単に潰れる。
味は抹茶っぽいか。植物性と動物性の中間みたいな存在。
小麦粉と水回しで合わせると、ミルクココアのような甘い香りがでてきた。

バッタ粉末
釣り餌に使うサナギ粉と、焼いたカニの甲羅を混ぜたような香り。
かなり粗めで足や羽根らしきものが目視できる。この部分はトッピング用によさそう。
味はカニの甲羅だが、でもイナゴの後味が口に残る。味が強い。
水回しで甘いココアとコイ釣りの餌が混ざった香りが立ち込める。

 

昆虫パスタを打つ

昆虫パウダー100%だと麺にならないし、なんといっても原価が高すぎるので、小麦粉と混ぜて麺にします。

今回は佐伯さんがパスタを希望ということで、デュラムセモリナ粉とパン用準強力粉(リスドォル)を使用。

デュラムセモリナは「デュラム」という硬質小麦の「セモリナ(粗挽き)」。市販の乾燥パスタは基本的にこの粉らしいですが、手打ちだとかなり繋がりにくい。これが全量だと昆虫粉入りは難しいかなと判断し、リスドォルと併用しました。値段もリスドォルならデュラムセモリナ粉の半額くらいかな。

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比べるとこんなに違うのよ。

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作った麺は6種類。虫をそれぞれ変えて作ります。

■虫少なめ卵無し:(虫10g+リスドォル90g)+打ち水40g(水38+塩2g)

■虫多め卵無し:(虫40g+セモリナ粉80g+リスドォル80g)+打ち水80g(水76+塩4g)

■虫多め卵有り:(虫40g+セモリナ粉80g+リスドォル80g)+打ち水84g(卵1個+オリーブ油6g+塩2g+水適量)

 

まずは一番原価率の安い、虫が10でデュラムセモリナ粉を使わないシンプルなパターン。パスタではなく、うどんという噂も。

これはバッタパウダー。ちょっと粗いかなと不安だったけど10%程度の配合なら問題なし。そして10%でも見た目が結構すごい。

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こちらはコオロギ。粒子が細かいので全く問題なし。

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続いてはデュラムセモリナ粉入り。

虫20%セモリナ粉40%リスドォル40%。

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打ち水は塩水(粉に対して40%の重さ)と、卵たっぷりオリーブオイル少々塩少々と水(粉に対して42%の重さ)の2種類。

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虫粉20%で打ってみたところ、コオロギは問題なく麺になる感じだけど、バッタはかなりの難易度。

バッタと硬質小麦という粗挽き同士の組み合わせ、なかなか厳しいね。リスドォルが入ってないと厳しかったかも。

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卵が入ったほうがちょっと繋がりやすいかな。

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こちらはバッタ20%の卵入りを、製麺機に通すために潰した状態。

厳しさが伝わるでしょうか。

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チョコレートみたいですね。

あるいは大型動物の落し物。

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パスタを試食してみる

何度か複合圧延を繰り返して麺帯を伸ばし、打ち粉にコーンスターチを使って、どうにかすべての生地を製麺に成功。イエーイ。

久しぶりに達成感のある麺となりました。強敵(ライバル)は己を鍛えますね。

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茹でても大丈夫!

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とりあえあずバッタ10%を茹でてみました。

10%でもコンニャクみたいな見た目です。

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オリーブオイルと塩で、シンプルにいただいてみました。

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これ、なかなかすごい!

10%という量は少なく感じるけれど、明らかに虫の香りと風味。

当たり前だけど穀物やプロテインではなく、スパイス的な力を持った食材だ。

味としてはそこまで強くないが、風味が強い。この感じ、伝わるかな。明らかに普通じゃない存在感がビンビン伝わってくる。昆虫には麺を支配する力がある。

今度の製麺会で、昆虫ラーメンだそうかな。いや、蒸し麺を使う焼きそばがいいね。「蒸し虫麺」っていいたいだけだけど。ムシムシする時期に最適。本当か。

原価計算してみよう

リスドォルが100g40円だとして、コオロギ粉が1480円、バッタ粉が2380円。

10%配合の粉100g原価が、コオロギ入りで36円+148円=220円、バッタ入りだと36円+238円=274円。

リスドォルだけに比べると、10%配合でも原価6倍くらいですね。

麺の原価だけで考えるとさすがに高いけれど、レストランでスペシャルな料理として仕上げていただき、1200~1600円とかで出せれば、商品としての訴求力はあるのかな。「コオロギ入りパスタの野草ソース 1500円」みたいな感じで。

 

各パスタの詳しい感想は、試食した佐伯さんのコメントをどうぞ!

すごく面白い記事ですよ!

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