家庭用製麺機のベストセラーである小野式製麺機は、切刃の種類が豊富にそろっているのもまた魅力。その種類は、1.3、2.2、2.7、4.2、6.3ミリの5種類で、標準サイズは2.2ミリ。世の中の小野式の片刃型なら9割はこのタイプである。
両刃型の場合は2.2と4.2、あるいは2.2と6.3という組み合わせが多く、稀に1.3×2.7ミリといった組み合わせが存在する。1.3ミリの中華そば用は、業務用としても使える3型に比較的多く見られたようだ。
そして現在、家庭用製麺機を趣味で使うユーザーは、ラーメンを作る場合が多い。低加水の生地をゴリゴリと伸ばせる鋳物製の製麺機は、手で伸ばすことが難しい中華麺にこそ、その真価を発揮するのだ。もちろんうどんを作ってももすごくうまいけど。
そうなると欲しくなるのが1.3と2.2ミリの間となる、現在の中華麺としては標準的な切刃である。当時はそういった需要がなかったためか、これがどこの家庭用製麺機メーカーも用意しておらず(ほとんどが2ミリ前後のみ)、仕方なく麺線作りの工程だけパスタマシンを使用することとなる。
それでも全然いいのだが、やはり欲しいのが家庭用製麺機で使えるちょうど良い切刃。過去に存在しないのなら、現在の技術で作ればいいじゃないと立ち上がったのが、トーカイ麺機である。メーカーではなく、個人の趣味。作成したのは1.5ミリ。業務用でいうところの20番の切刃だ。
ネットオークションで1.5ミリを装着したレストア品、あるいは切刃単体を手に入れることも可能だが、せっかくなので手持ちの切刃ユニットを送り、トーカイ麺機さん自らに装着していただいた。
もちろん櫛刃も1.5ミリの切刃に合わせた特注品である。
厚い生地を切れるように、噛みあわせを深く設定してある。その理由は後ほど。
真鍮(あるいは砲金)の切刃に慣れた身に、とても新鮮にみえるステンレスの輝き。
加水率36%+塩1%+かんすい1%の硬めの生地を作り、1.5ミリの切刃に通す。
ハンドルを回す手からは、安心の強度が伝わってくる。
そう、我々はこの太さが欲しかったのだ。
これぞ中華麺という太さの麺が、家庭用製麺機だけで完成した。
この素晴らしさ、伝わるだろうか。
さてこの切刃、先程かみ合わせ部分が深いと書いたが、おかげで『縦切り』にも対応しているのだ。トーカイ麺機さんの狙いはここにこそある。
普通の麺線は、切刃の幅前後、あるいはそれよりも薄い麺帯を切ることで作成するが、縦切りはその逆。切刃の幅よりも厚い生地を強引に切るのである。
この切刃であれば、4ミリ程度の麺帯を問題なく切ることができ、結果としてウェーブの掛かった麺肌の荒れた太麺を作ることができる。パスタマシンでは作ることが難しいタイプの麺だ。
1.5ミリの麺帯を4ミリの切刃で切るのと、4ミリの麺帯を1.5ミリの切刃できるのでは、できあがる麺は全く違う。
この麺がどんなスープに向いているのかは、また今度ということで。
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